暮らしの保健室 認知症講演会「認知症とともにあかるい明日へ」にご参加いただきありがとうございました
12月5日に市民会館で開催した、認知症講演会 認知症の当事者に聞く「認知症とともにあかるい明日へ」と題した講演会がくらしの保健室たま、たかつきクリニック、昭島市役所、昭島市社会福祉協議会と4者で協力のもと無事に終了いたしました。
講演に参加された総人数は120人となりました。ご参加いただきありがとうございます。
前半は講演会で東京都医学総合研究所の宮下光弘先生による「認知症の最新治療の現状」についてお話をいただきました。宮下先生はたかつきクリニックの外来も担当していて、認知症の方の診療にもあたっています。従来の内服薬や貼付剤の治療に加え、脳内のアミロイドβプラークを減少させるアデュカヌマブについてもお話をされました。それに加えて、BPSDと呼ばれる行動心理症状を当事者からのメッセージとして読み解くことの大切さについて力説されました。また、92歳で逝去された日本認知症の第一人者である長谷川和夫先生がそれまでは家族の負担を軽くするためデイサービスが非常に良いと素朴に考えていたが、自らが認知症になって、本人のしたいことは何か、生活の中でサポートできることは何かに気づいたこと=「本人のニーズを知ること」の大切さに気づいたとのメッセージを紹介されました。
続いて、認知症当事者である丹野智文さんをお迎えして「認知症とともにあかるい明日へ」のテーマでお話をしていただきました。丹野さんは認知症当事者ネットワーク宮城代表理事や日本認知症希望大使として活躍されています。また、テレビやラジオ、各地域での講演活動などで多忙な毎日を過ごしています。今回、顔面神経麻痺となり治療の関係で講演が困難かもとの事でしたが、丹野さんとやり取りを重ねお越しいただくこととなりました。認知症と診断された途端に、家族を含めて周りの人が変わってしまい、家族や支援者の優しさから、できる事がどんどん奪われてしまうこと、包括支援センターにいくと介護保険ばかりを勧められてしまうこと、当事者の意思を確認しないままデイサービスなどのサービスが決定されてしまう事など当事者が感じていることについて話されました。まずは、当事者の話をじっくりきいてほしい、当事者の思いを置き去りにしないでほしいと何度も繰り返されました。丹野さんの講演を聞きながら感動でしょうか、介護経験の反省でしょうか涙ぐまれている方も散見されました。
2部では、お二人の演者に加えて昭島市に居住する東京都認知症の希望大使である能任智子さん、DAYS BLG!はちおうじの守谷さんをお迎えしてのセッションでした。認知症や高齢になった時のための備えや、1部の講演の感想について会場の参加者の皆さまと一緒に話し合いをしました。DAYS BLG!はちおうじでの認知症の方の活躍をビデオ付きで紹介を受け、昭島市にそんな場所ができると良いとの感想がありました。そして、希望大使の能任さんの「これからも私は私らしく生きていく」と笑顔で語られたことは認知症になっても大丈夫の勇気を与えてくれるものと確信しています。
85歳の市民の方は備えとして御宿かわせみの読み聞かせを特別養護老人ホームで25年にもわたって継続していると素晴らしい紹介がありました。
2時間半にわたる今回のイベントで、手違いで宮下光弘先生のお名前掲示が宮下光氏となってしまったことについてお詫び申し上げます。
全体的には穏やかであたたかい雰囲気のまま終了しました。
間渕 由紀子